前回 恭介「さやかは僕をいじめているのかい?」
0001以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/11/14(月) 12:54:55.92ID:9aID6w5B0
さやか「むぅ。なんでそんなこというの恭介」
恭介「いや……そりゃ言うよ」
さやか「恭介はあたしのこと嫌いなんだ。ぐすん」
恭介「ウソ泣きだってわかってるからね」
さやか「ちぇっ」
恭介「……で、それ、本気で言ってるの?」
さやか「うん」
恭介「……」げんなり
さやか「だから恭介、登山行こうよ登山!」
恭介「……やっぱり僕をいじめてるんだろう?」
0004以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/11/14(月) 13:03:45.23ID:9aID6w5B0
さやか「いじめてなんかいないよ。あたしはただ恭介とどこか遊びに行きたいなって思っただけで」
恭介「……いや、少しは僕の身体も労ってよ」
さやか「ん?あー、そっか恭介、入院生活長かったもんね。確かに体力衰えてるかも」
恭介「いやまあ、それもそうだけど」
さやか「でも大丈夫だよ!疲れたら肩貸してあげるし、それにほらいいリハビリになるよきっと」
恭介「リハ……いやいや逆に悪化するから」
さやか「こら恭介、そんな弱気じゃいつまで経っても治らないぞ?」
恭介「治す気ないのは君のほうだろう?!」
さやか「あっわかった、恭介虫とか苦手?大丈夫だよ、この時期はもうぜーんぜんいないから!」
恭介「いや別に虫くらい平気だけどそれ以前の問題なんだって!!」
さやか「山頂はいいよー空気がよくってねぇ」
恭介「話を聞けよ!!」
0007以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/11/14(月) 13:08:42.42ID:9aID6w5B0
恭介「頼むさやか、一度僕の話を聞いてくれ」がし
さやか「ほぇ?」
恭介「僕の足……見てよ」
さやか「……あっ」
恭介「……わかっただろ、こんな足じゃ登山なんてとても」
さやか「ご、ごめんね恭介、あたし……気がつかなくて……」
恭介(見ろと言わなきゃ気付かないさやかの頭ってどうなんだろう……)
さやか「……恭介、足幅広めだったんだね」
恭介「……はあっ?!」
0009以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/11/14(月) 13:15:26.85ID:9aID6w5B0
さやか「あー、うん……あたしが持ってる登山靴じゃ入らないね、これ」
恭介「……」げんなり
さやか「しょがない、高くつくけど買うっきゃないか。アウトドアって初期費用けっこうかかるのがネックだよね」
恭介「おいウソだろ……なんで包帯とギプスはスルーなんだよ……」
さやか「買うならメレルかキャラバンかなぁ。あ・体力落ちてるならソールも要るね!」
恭介「ま、待って待ってちょっと待ってさやか」
さやか「?どしたの、ひょっとしてソールは持ってたりした?」
恭介「いや、持ってないけど……だからそれ以前の問題なんだってば」
さやか「むー。この期に及んでまだ駄々をこねますか」
恭介「ワガママ言ってるのはどちらかというと君のほうだろ……」
0011以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/11/14(月) 13:26:01.51ID:9aID6w5B0
さやか「わかった、そんなに不安ならもうちょっと低い山にしようか」
恭介「……ちなみに、どこに行く予定だったのさ」
さやか「八ヶ岳のね、赤岳(2899mくらい)」
恭介「足のことを差し引いても、退院したばかりの人間を連れていくところじゃないよね?!」
さやか「なはは。安心してよ、そんなに高くない山にするから」
恭介「……ちなみに?」
さやか「編笠山(2524mくらい)」
恭介「そんなに変わらないじゃないか!!」
さやか「ん?もしや恭介、たった2キロちょいだと思ってナメてるなー?山の2キロはねー、でかいぞー」
恭介「いや逆!!逆に標高2キロもあるのかよって思ったからね?!」
さやか「ふむふむ。それくらい慎重なほうがいいね。流石は恭介、山のなんたるを知っている」
恭介「いや知るかよそんなの!!」
0015以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/11/14(月) 13:35:43.79ID:9aID6w5B0
さやか「編笠山いい山だよ。天気がよければ、頂上から諏訪湖と富士山が見えるんだ」
恭介「べつに訊いてないけど……へぇ、でもすごいな。八ヶ岳って確か長野だよね?ひとつ隣の県まで見えるんだ」
さやか「んっふっふ。ど、行きたくなった?」
恭介「まあ……足が治ったら、ね」
さやか「ぶぅ。すぐにでも行こうよー」
恭介「だから無理だって……そういえば僕、さやかがいわゆる山ガールだったなんて知らなかったよ」
さやか「あはは。いやね、さいきん体力がバクレツについてきたというか、身体がカラッポっていうか。そんなこんなで、身ひとつでどこにでも行ける気がしてねぇ」
恭介「?何のことかよくわかんないけど……」
恭介(カラッポなのは頭のほうだろ)
0018以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/11/14(月) 13:49:02.99ID:9aID6w5B0
~~~~どようび・八ヶ岳編笠山登山道入口~~~~
さやか「ついたーっ!」
恭介「まさかホントに来ることになるとは……」
さやか「靴は残念だったね、まさかアメリカンサイズでもピッタリ合うのがないとは」
恭介「ギプスしてれば当然だろうね」
さやか「ハッ、待てよ……?!キャラバンとメレルはダメだったけど、ダナーならあるいは……!」
恭介「ああはいはい、もういいからそろそろ出発しよう。……ツアーで来てるお年寄りの視線が痛い」
さやか「ほいほい!そんじゃ、出発ー!」
0020以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/11/14(月) 14:01:34.08ID:9aID6w5B0
~~~~10分後~~~~
恭介「」
さやか「なに恭介、もうバテたの?」
恭介「無理……やっぱこれ無理……死ぬ……」
さやか「だらしないな、もぉ。自前のストックだって持ってきてるから気合充分だと思ったのに」
恭介「ストック……?って、まさか……これのこと?」すっ
さやか「そう、それ」
恭介「……」げんなり
恭介(……どうして松葉杖が登山酔うのストックにみえるんだこのカラッポは)
さやか「なんか変わったかたちしてるね、それ。ちょっと貸してよ」
恭介「さやかは僕を殺す気なのかい?!」
さやか「エッ?」
0023以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/11/14(月) 14:14:02.29ID:9aID6w5B0
~~~~押手川~~~~
さやか「よっこいせ。ちょっと休憩にしよっか」
恭介「うん……」ぜえぜえ
さやか「大丈夫、恭介?ほらお水」
恭介「あ、ありがとう……」ごく
さやか「いやー、にしても……ここまでくるのに3時間かかるとはね。早めに出発しといて正解だったかな」
恭介「……松葉杖でここまで3時間って、むしろ早いほうだと思うけど」
さやか「どう、恭介?脚とかいたくない?」
恭介「うん、全身が痛い」
さやか「あっはっは。こりゃ相当なまってるね」
恭介(くっ……この脳筋め)
0025以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/11/14(月) 14:23:13.04ID:9aID6w5B0
~~~~5時間後~~~~
恭介「……ついた」
さやか「やー、やっと着いたね」
恭介&さやか「山頂ー!!」
さやか「うっひゃー、夕陽が綺麗だね、恭介」
恭介「うん。幸いガスもないし、いい見晴らしだ」
さやか「にしても、予定じゃ昼過ぎには登頂するつもりだったんだけど」
恭介「仕方ないだろ、あんなほぼ壁みたいな急斜面を松葉杖で登れっていうのが無茶なんだ」
さやか「恭介ってばあの斜面でもまだストック手放さないんだもの。あれはストックないほうが登りやすいよ」
恭介「まだいうか……はは、まあいいや」
0027以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/11/14(月) 14:33:45.08ID:9aID6w5B0
恭介「……にしても」
さやか「?」
恭介「……寒い」
さやか「あー、そっか……山頂じゃ身体動かさないから特に、ね」
恭介「さやかは寒くないのかい……?そんな薄っぺらいシェル一枚で」
さやか「え?ああうん、べつに」
恭介「感覚なくなってるんじゃないかって思うよ、さやかを見てると」
さやか「え?!うわやばバレ……じゃなかったヤだなー恭介そんなことあるわけないっしょもぉー!!」
恭介「……なんでそんなにうろたえるんだい」
0028以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/11/14(月) 14:41:54.14ID:9aID6w5B0
さやか「ねえ恭介」
恭介「ん?」
さやか「今日、楽しかった?」
恭介「うーん……足だけじゃなくて身体中痛いし、疲れたし寒いし……正直踏んだり蹴ったりだったよ、今日は」
さやか「……」
恭介「でもまぁ……楽しかった、のかな。さやかと一緒なら、たぶんなんでも楽しいんだよ」
さやか「恭介……」
恭介「ありがとう、誘ってくれて。腕が動くようになったって、退院したって……どこか僕は、事故の前の僕に戻れずにいた」
さやか「……そんなことないよ。今の恭介……前より輝いてる」
恭介「……さやか、君のおかげだね」
さやか「……えへへ」
0032以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/11/14(月) 14:50:38.67ID:9aID6w5B0
さやか「さて、そろそろ下山しますか」
恭介「うん。だけどさやか」
さやか「?」
恭介「ここまで登ってくるのに8時間かかってるんだよ……下りはもう少し早いにしても、下りきる頃には深夜12時近くなっちゃうんじゃないかな」
さやか「あは、あはは……まあ、それもしょうがないんじゃない?ヘッドライトもあるし、まあなんとかならんこともないっしょ」
恭介「確かに下りなきゃどうしよあもないけどさ……でもね、さやか」
さやか「?」
恭介「あっちに……山小屋があるんだ」
さやか「えっ」
恭介「今日のところはさ、山小屋で一泊していこうよ。着替えとかは持ってきてないけど、ヘタに急いで下山するよりマシだろ」
さやか「え、で、でも……その……」
恭介(?なんだ、照れてるのか……ふふ、かわいいところあるじゃないか)
0036以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
2011/11/14(月) 14:59:12.17ID:9aID6w5B0
さやか「や、山小屋泊ってさ」
恭介「うん」
さやか「たいていみんな40リットル以上のザックで来るよね?」
恭介「え?う、うん」
さやか「あたしたち、日帰り登山の予定だったから……このザック、要領30リットルなんだよね」
恭介「ま、まぁね……?僕のも25リットルだし……」
さやか「そんなのやだ!恥ずかしいよ!こんなちっちゃいザック背負って山小屋なんか行けないよ!!」


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