1: 名無しで叶える物語◆Ra6HZRjm★ 2026/04/15(水) 21:00:24 ID:???00
2026年3月 ある夜


瑠璃乃「……あれ? 姫芽から、電話だ」

瑠璃乃「はい、姫芽?」

姫芽『あ……るりちゃんせんぱい』

瑠璃乃「こんな時間にどうしたの?」

姫芽『あ、いえ、その……出なかったら出なかったでいいかなと思っていたんですけど……』

瑠璃乃「うん?」

姫芽『あの……るりちゃんせんぱい、今何してるかな~、って』

2: 名無しで叶える物語◆Ra6HZRjm★ 2026/04/15(水) 21:01:16 ID:???00
瑠璃乃「今? 絶賛荷物の整理中だねー。でも、ついついノートを読んじゃったりしてさ、なかなか進まないんだな、これが」

姫芽『あ~、あるあるですね~。遅くまでお疲れさまです。……そ、それじゃあ、お邪魔しては悪いので——』

瑠璃乃「姫芽は? 何してたの?」

姫芽『ア、アタシですか? アタシは、別に何もしていなかったというか何というか……』

瑠璃乃「そっか。……今日はゲームはいいの?」

姫芽『ゲームは……さっきまでやってたんですけど、どうも調子が悪かったんで、今日は終わりにしました』

3: 名無しで叶える物語◆Ra6HZRjm★ 2026/04/15(水) 21:02:40 ID:???00
瑠璃乃「……じゃあさ、ちょっと姫芽の時間、もらってもいいかな。ルリとの電話に付き合ってよ」

姫芽『え、いいんですか? 色々忙しいのに……』

瑠璃乃「大丈夫大丈夫。期限までにはなんとかするって」

姫芽『はい……それじゃあ』

瑠璃乃「やった! ルリさ、お互い寮内にいるのに電話するの結構好きだったんだよね」

姫芽『あ~、わかります。なんていうんでしょうね~、二人で秘密を共有している感じ、ですかね~』

瑠璃乃「そうそう、すぐそこにいるのに、わざわざ電話するのが、なんかいいんだよね」

4: 名無しで叶える物語◆Ra6HZRjm★ 2026/04/15(水) 21:03:44 ID:???00
姫芽『もう消灯時間ですし、部屋を出入りしたらどうしてもわかっちゃいますからね』

瑠璃乃「消灯時間までじゃ足りない! ってときに、周りにも、寮母さんにも内緒で延長戦だー! って……姫芽とも何回もやったよね」

姫芽『やりましたね~。余ったポッキーの袋一つずつ持って帰って食べたりして』

瑠璃乃「いつも姫芽のほうが先に食べ終わっちゃうんだよなー」

姫芽『いや~、目の前にあるとついつい食べちゃうんですよ~』

瑠璃乃「画面越しに分けてあげられればいいのに、なんて言ったりね。……でも、多めに持っていきなって言っても、頑なに半分しか持って行かないからさ」

姫芽『だってそれはなんか、違うじゃないですか~』

瑠璃乃「そうかなー?」

姫芽『そうですよ~』

5: 名無しで叶える物語◆Ra6HZRjm★ 2026/04/15(水) 21:04:23 ID:???00
瑠璃乃「……懐かしいなー。そんな電話、特にこの一年はたくさんしたよね。……何回くらいやったんだろうね」

姫芽『……今日で二じゅ……いえ、数え切れませんね~』

瑠璃乃「……今何か言いかけなかった?」

姫芽『いえ~、どのくらいでしょうね。特にこの一年は色々大変でしたから』

瑠璃乃「うん。……いや~、本っ当に大変だった。まあ、まだ終わってないけどさ。でも、なんとか終わりが見えてきてよかったよ」

姫芽『そうですね。……でも、大変だったけど……アタシは楽しかったです』

瑠璃乃「うん、それはルリもそう」

6: 名無しで叶える物語◆Ra6HZRjm★ 2026/04/15(水) 21:05:35 ID:???00
姫芽『……なんでしょうね~。この大変だったことも、終わってしまえば楽しかったってなる現象』

瑠璃乃「不思議だねー。もう限界だー! って思ったことも何回もあったのに、今はそれだって懐かしいや」

姫芽『るりちゃんせんぱい……』

瑠璃乃「うん?」

姫芽『卒業、しちゃうんですね……』

瑠璃乃「……うん」

姫芽『……』

7: 名無しで叶える物語◆Ra6HZRjm★ 2026/04/15(水) 21:06:17 ID:???00
瑠璃乃「ルリはね……一年生の途中から編入して、みんなに追いつかなきゃって頑張ったんだ。それで、追いつけたかはわからないけど、必死についていってさ……結果的には、まあまあ高校生活やり切ったよ」

姫芽『はい……』

瑠璃乃「それに、後輩も立派に成長したし、もうルリがいなくても大丈夫かなって思う」

姫芽『そんなこと……』

瑠璃乃「あ、でもちょっと申し訳なかったなと思うこともあってさ……ユニットに後輩を入れてあげられなかったことは、少しだけ心残りかな」

姫芽『るりちゃんせんぱい……』

瑠璃乃「四月からは、勧誘も頑張ってね。……直属の後輩ができたら、きっと姫芽はもっとすごくなれる。後輩ってすごいんだぜ」

姫芽『はい……頑張ります。るりちゃんせんぱいに貰ったたくさんのものを引き継いでいけるように』

瑠璃乃「うん、よろしくね」

8: 名無しで叶える物語◆Ra6HZRjm★ 2026/04/15(水) 21:07:22 ID:???00
瑠璃乃「……そうそう、荷物整理してたら、WAWO!を作ったときのアイデアノート出てきてさ」

姫芽『……あ~、WAWO!のときも大変でしたね~』

瑠璃乃「これが今年のみらくらぱ~く!だって伝わるようにしようって言ったんだよね」

姫芽『いざ考えてみると、今年のみらぱってなんだ? とか、それを伝えるってどういうこと? とか、すっごく悩みました~』

瑠璃乃「でも、そうやって二人で悩んだおかげで、いいものになったと思うよ」

9: 名無しで叶える物語◆Ra6HZRjm★ 2026/04/15(水) 21:08:13 ID:???00
姫芽『そうですね~。頑張った甲斐がありました~。あと、今年のみらぱといえば、露出頑張るですけど』

瑠璃乃「それもねー、まあ良くやったんじゃない? イベントもやったし、配信もやったし」

姫芽『ゲーム配信楽しかったです~。るりちゃんせんぱいを祀る神殿を作っておくので、いつでも帰ってきてくださいね~』

瑠璃乃「神殿は、どうなんだろう……? でも、作る過程はウケるのかな……まあ、それは置いておいて、うん、いつでも参戦するよ」

姫芽『ありがとうございます~。あ、それから——』

瑠璃乃「そうだったそうだった。そういえば、あれもね——」

10: 名無しで叶える物語◆hJ8uB7Wn★ 2026/04/15(水) 21:27:20 ID:???00
見てます

11: 名無しで叶える物語◆Ra6HZRjm★ 2026/04/15(水) 21:36:20 ID:???00
……


姫芽「……」

姫芽「ん……あれ? 寝ちゃってた? 何時……?」

姫芽「あ、電話……つながったまま。……るりちゃんせんぱい……?」

瑠璃乃『……』

姫芽「……るりちゃんせんぱいもお疲れですからね。それなのにお付き合いいただきありがとうございます」

12: 名無しで叶える物語◆Ra6HZRjm★ 2026/04/15(水) 21:37:06 ID:???00
姫芽「……」

姫芽「るりちゃんせんぱい……アタシ、みらぱに入れてもらって、本当に幸せでした」

姫芽「もちろん、推しに挟まるなんて恐れ多いというのは今でも思っているんですけど」

姫芽「……」

姫芽「でも、二人でみらぱをやったこの一年、るりちゃんせんぱいの相棒になれたこの一年……アタシにとって、一生の宝物です」

姫芽は「後輩が入らなかったことを、申し訳ないって言ってましたけど、実はアタシは……二人で過ごせてよかったなって思ってるんです」

姫芽「本当は卒業しないでほしいです。四月からの話なんてしてほしくないんです。ずっと一緒に、みらぱやっていたいです」

姫芽「でも、そんなこと無理だってわかってるから……今だけにします。るりちゃんせんぱい……アタシと相棒だった一年間のこと、忘れないでくださいね」

13: 名無しで叶える物語◆Ra6HZRjm★ 2026/04/15(水) 21:40:25 ID:???00
瑠璃乃『……』

姫芽「……はあ、何言ってるんだろう、アタシ」

瑠璃乃『……大丈夫だよ、姫芽』

姫芽「ひぇ!? い、いつから起きてたんですか?」

瑠璃乃『ルリは寝たとは一言も言ってないけど?』

姫芽「な、な……無しです! 今言ったこと!」

姫芽「何おかしなこと口走ってるんですかね。いや、アタシには過ぎた幸せだったんです。大丈夫、大丈夫です。ちゃんと、ただの後輩に戻りますから……」

14: 名無しで叶える物語◆Ra6HZRjm★ 2026/04/15(水) 21:41:48 ID:???00
瑠璃乃『相棒! 相棒相棒相棒相棒相棒!』

姫芽「ひょ!? ふぇ!?」

瑠璃乃『……そんなこと言わないでよ、相棒』

姫芽「何で……」

瑠璃乃『無しになんてできない。だってルリも同じ気持ちだから』

姫芽「るりちゃん……せんぱい」

瑠璃乃『片付けしてても昔の思い出をつい見ちゃうって言ったじゃない? あれもね、二年生のときとかのは、ただ懐かしいなって感じなんだ。でも、三年生のときの、姫芽との二人の思い出を見てると、終わっちゃうの嫌だなーって思うから』

15: 名無しで叶える物語◆Ra6HZRjm★ 2026/04/15(水) 21:42:32 ID:???00
姫芽「……」

瑠璃乃『姫芽と一緒に過ごしたこの一年間、忘れないよ。忘れられるわけないよ』

姫芽「るり……ちゃ……」

瑠璃乃『だってさ、最っ高に最高だったからね』

姫芽「……はい」

瑠璃乃『それに、卒業したって何があったって姫芽が大切な相棒だってことは変わらないよ。だから、大丈夫』

瑠璃乃『困ったときは、いつでも呼んでよ。みんなのヒーローとしてじゃなくてさ、たった一人の相棒として、力になるから。ね?』

姫芽「うぅ……はい~」

瑠璃乃『それに、まだこの一年は終わってないよ。これからまだまだ最っ高の一年にするから、よろしくね!』

姫芽「アタシだって……アタシだって、まだまだやり足りないことだらけですから、覚悟してください!」

16: 名無しで叶える物語◆Ra6HZRjm★ 2026/04/15(水) 21:43:29 ID:???00
姫芽「アタシだって……アタシだって、まだまだやり足りないことだらけですから、覚悟してください!」

瑠璃乃『うん、楽しみにしてる。……それで、早速相談なんだけど』

姫芽「はい」

瑠璃乃『今ここに、月末までに食べきれなさそうなお菓子があります。……これを持って、今から遊びに行っていいかな?』

姫芽「へ? アタシの部屋にですか?」

瑠璃乃『うん』

姫芽「でも、もう日も変わったし、寮母さんに見つかったら叱られますよ? いや、その、来るの自体は全然いいんですけど」

瑠璃乃『ふっふっふ、ルリはもう卒業式も終えた三年生なのだよ。だから、もし見つかって叱られても大丈夫。これまでの優等生貯金もあるしね』

姫芽「お、おお~。るりちゃんせいぱいもなかなかやりますね~」

17: 名無しで叶える物語◆Ra6HZRjm★ 2026/04/15(水) 21:45:10 ID:???00
瑠璃乃『それに、この広い寮で、この小さいルリを見つけるのは至難の業なのだ』

姫芽「いや~、その凝縮された輝き、どんな遠くにいても気が付きますよ~」

瑠璃乃『あはは、ありがと。……じゃあ、長くても一時間くらいだからさ』

姫芽「嫌です。朝までいてください~」

瑠璃乃『明日も予定いっぱいなんだから駄目。……大丈夫、明日も最高の一日になるよ』

姫芽「う~……じゃあ、このまま電話繋げっ放しで来てください」

瑠璃乃『電話? ……オッケー、それじゃあ、ルリの忍者のような隠密行動を実況中継しながら行こうかな』

姫芽「お待ちしてます~。もうすぐに出ますか?」

瑠璃乃『実は、非常用のカップラーメンを見つけてさ。一個しかないけど、一緒に食べよ? ……えー、今お湯を入れたので、これから三分以内にお届けします』

18: 名無しで叶える物語◆Ra6HZRjm★ 2026/04/15(水) 21:45:42 ID:???00
姫芽「はい。……るりちゃんせんぱいも……ピンチになったら呼んでくださいね」

瑠璃乃『……了解。頼りにしてるぜ、相棒』

姫芽「はい、頼られました……アタシの、相棒」


おわり

引用元: 【ss】姫芽「みみもとのこえ」