九月もそろそろ末になり、太陽はようやく慎みというものを思い出してくれたらしい。頬をなでる秋風のひんやりとした心地が、連日の残暑に体力と睡眠時間を削られがちであった僕の心を癒やしてくれた。
商業区の店舗通りを歩いていると、既に店を開けた顔なじみの魚屋さんが声をかけてきた。何でも、大洗鎮守府所属の艦娘たちがサンマを水揚げしてくれたのだそうだ。
安くしとくよという声に、今は出勤中なのでと断りを入れる。今年一番乗りで新鮮なサンマを手が入る栄誉は確かに魅力的だが、買ったところで流石に今から家に戻る時間はない。学校で調理なんて企てれば、園さん率いる風紀委員が大挙襲来して瞬く間にお縄だろう。
断腸の思いで背を向けると、魚屋さんが「とっとくから帰りに買いにきな」と声をかけてくる。僕は一瞬だけ振り向いて頭を下げた。
( ^ω^)(今日の夕飯は確定だおね)
鼻歌で「上を向いて歩こう」を奏でつつ、少しだけ歩く速度を上げる。
引用元: ・( ^ω^)その時、戦車道史が動いた!のようです
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