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────風吹く坂道を登って、街を見下げる。冷めた空気がフタをしたかのように、目の前の解像度を落とす。しかしそれでも街の全貌は掴み取れた気がした。
少し怒りが湧いてしまうくらいの空模様だった。青く澄んで、高くそびえて、どうしようもないくらいに優しかった。
私の気持ちとは裏腹に、なんて心地の良い風が吹くのだろう。八つ当たりかもしれないが、それはそれ。少し空気を読んでくれてもいいではないか。あまり声にしないし表情には出してはいないけど、それでも確実にオーディションに落ちたショックは今の私を支配する感情なのだから。
引用元: ・【シャニマスss】きっとでいいから 【
大崎甘奈】【【シャニマスss】きっとでいいから 【大崎甘奈】】の続きを読む