えすえすゲー速報

アニメ ゲーム ラノベ等のSS及び雑談をまとめています。

ライドウ

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 怪しい女性が三つに分かれたのをみて、京太郎は姿勢を整えた。かかとをわずかに上げて爪先立ちになりひざを軽く曲げて腰をわずかに落とした。

両腕をだらりとリラックスさせて、自由に動かせる状況にもっていく。いつでも最高速で動ける姿勢である。

 すでに京太郎の頭の中に無駄なものはない。目の前の強敵に一泡吹かせてやるという闘志と、全身全霊でぶつかる喜びだけで動いている。

 退屈だった心はどこにもない。自分の退屈を殺す方法を京太郎は見つけたのだ。

「手抜きで手に入る勝利より全身全霊で敗北するほうがずっといい、ずっと価値がある。

 往くか、修羅道」


 まだ攻撃らしい攻撃もない立ち会う前といっていい状況。しかしすでに結果は見えていた。分身を呼び出せる余力のある怪しい女性と、相手のステージに近づいていくだけで自らの死に近づいていく京太郎。

どちらが勝利するのかなど誰の目から見ても明らかだ。

 しかし、京太郎に恐れはない。格下の京太郎が吠えた。

「来い!」

 京太郎の願いを聞き入れた心臓が激しく脈を打つ。無茶に無茶を重ねたことで鼻の中の血管が大きく裂けて、血が流れ出し、京太郎の口元が赤く染まる。

しかしそれでも、京太郎は吠えた。ただこのときを待っていたとばかりに吠えた。

 大馬鹿であった。


 京太郎の叫びを合図にして怪しい女性が動き始めた。三つ同時である。三つに分かれた怪しい女性は、京太郎を囲みにかかった。ちょうど京太郎を中心にして三角形を作っている。そして合図もなしに一斉に京太郎に飛び掛った。

 真正面の一人は京太郎の頭めがけて飛び込んだ。京太郎の右斜め後ろは、京太郎の背中を取るために飛び掛った。斜め後ろの一人は京太郎の足をめがけて飛び込んだ。

三人とも大きく手を広げている。抱きしめようとしているようだった。しかしその勢いはすさまじく、普通の人間ならば、真っ二つになるだろうことは間違いなかった。

 怪しい女性の準備から攻撃までが一瞬のうちに行われた。以前の京太郎なら、あっという間に捕まっていただろう。目で追う事もできなかったはずだ。

 しかし京太郎はこれに応じて見せた。真正面から飛び掛ってきた怪しい女性めがけて、飛び込んでいったのだ。

 京太郎は取り囲まれたのを把握できていた。前回の失敗から学んだのだ。一つのものばかりに集中していると、周りが見えなくなりつかまると。

 京太郎はしっかり五感を使い状況を理解している。

「怪しい女性は三つに分身した。そして三角形の形で自分を取り囲んでいる。そして取り囲んだ形から自分めがけてタックルを仕掛けてきた」

 タックルは三つすべて同時のタイミングだ。芸術的といっていいほど飛び掛るタイミングが同じだった。

 ならば、やることはひとつだろう。迎撃するだけだ。京太郎にあるのはそれだけである。怪しい女性が何を考えているのかとか、自分がどういう代償を受けるのかといった事柄はどうでもいい。ただ、一泡吹かせたかった。

 音速のステージに足を踏み入れ迎撃を始めた京太郎を前にして、怪しい女性は微笑を浮かべていた。しかしそれは京太郎の成長を喜んでいるものではない。京太郎の体から流れ出ている血液の甘い匂いに酔っているのでもない。

 迎撃に動いた京太郎をこのように解釈したのだ。

「うれしい! 宝物が自分から飛び込んできてくれた!」

 京太郎に攻撃を仕掛けられているなどとは少しも考えていないのだ。少なくとも怪しい女性は嫌われているとは思っていなかった。

 しかしすぐに間違いだったと知るだろう。

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京太郎「限りなく黒に近い灰色」 前編

86: ◆hSU3iHKACOC4 2015/04/14(火) 04:54:29.04 ID:KlUD8s2/0

 何十回と引き金を引いたあと、少ししてから空を飛ぶ悪魔たちが落ちていった。まだまだ空を飛ぶ悪魔は多い。空はほとんど追いかけてくる悪魔たちで占められている。しかしそれでも何匹かの悪魔は落ちていた。

 京太郎の乱射が続いた後、空を飛ぶ悪魔たちからの攻撃が緩んだ。そうするとスポーツカーが一瞬、無重力状態になった。何が起きたのか把握できたのはディーだけだった。

 ディーは叫んだ。

「オロチを動かしやがった!」

目の前の道が大きくうねり姿を変えたのをディーは見たのだ。

 ディーが叫んだ次の瞬間だった。スポーツカーは奈落に落ちていった。スポーツカーの行く先に道はなかった。

松常久たちがオロチを動かしたため、大きく道が変わり車が走れる道が失われたのである。目の前にあるのは大きな穴。奈落に続く真っ暗闇である。
 



 長い長い落下の後、車は地面に着地していた。着地といっても上品なものではない。子供がゴムボールを地面に力づくでたたきつけて遊んでいるようなそんな着地である。

走る道を失ったスポーツカーはまっさかさまに落ちていったのだ。かろうじて風の魔法ガルーラを使い姿勢を制御したのだが、それでも完全に勢いを殺せなかった。

しかもずいぶん深いところまで落ちたらしい。まったく光がなかった。真っ暗闇で、上空のはるか彼方にかろうじて薄明かりが見えるだけだった。そして、着地の衝撃で土煙が舞い上がっていて、妙に空気が重たかった。

 着地から数秒後ディーが声を出した。

「みんな大丈夫か? くっそ……どれだけ落ちた?」

 ディーは目を閉じて、ハンドルを握った。するとスポーツカーのエンジンが再び動き出した。スポーツカー自体が破壊されることはまずありえないという自信がディーにはあった。

しかし車の中に乗っている者たちが無事であるかというとなかなか難しい。京太郎はともかく、虎城は後方支援担当のサマナーである。落下の衝撃を受け流せず怪我をしているかもしれないのだ。それが心配だった。京太郎もディーも攻撃に特化していて、回復にはまったく役に立たないのだ。

 ディーがこういうと京太郎は応えた。

「大丈夫です」

 シートベルトをはずしていたために京太郎はずいぶん助手席から離れたところにいた。京太郎がいたのは、虎城の上である。京太郎はちょうど虎城に覆いかぶさるような格好で、スポーツカーの不思議な空間の中にいた。

京太郎の状態は悪くない。特にこれといった怪我は見当たらない。落下の衝撃で体を天井にぶつけたくらいのものである。

 スポーツカーの中にいるもう一人、虎城は声が出せていなかった。京太郎に覆いかぶさられて、固まっていた。腐ってもサマナーであって重大な怪我をしているようには見えなかった。しかしこれは、虎城が体術に優れていたからではない。落下の瞬間に京太郎が彼女を押さえに向かったためだ。

 そのため、まったくといっていいほど怪我を負わなかったのだ。虎城はスポーツカーが落下したということもはっきりと理解していないし、そもそもどうして京太郎が自分に覆いかぶさっているのかというのもわかっていなかった。

今の自分が置かれている状況と、周りの状況とを照らし合わせて、かろうじて何が起きたのかを予想するだけしかできなかった。

 あっという間出の出来事だったのだ。これに対応できたディーと京太郎がおかしいだけである。

 いつになっても口を利かない虎城の様子を見て京太郎がこういった。

「大丈夫ですか?」
 
 ずいぶん不安そうな表情を京太郎は浮かべていた。覆いかぶさっていた姿勢を変えて、虎城のそばに腰を下ろした。京太郎は虎城をかばいに動いていた。完全にクッションの役割を果たしていたはずである。

 しかしもしかしたら、怪我をしているかもしれない。見えないところに怪我を負っていたら、たとえば頭に衝撃を受けていたら、動けなくなるということも考えられた。

 不安そうな京太郎がこういうと、虎城はこのように返事をした。

「大丈夫大丈夫。なんか、ごめんね。助けてもらっちゃって」

 虎城は体を起こして微笑を浮かべた。そのときに、虎城は腰を撃っていることに気がついた。

「腰を打ったみたいね。須賀くんがかばってくれてなかったらやばかったかも」

 虎城は不安そうにしている京太郎にこういった。

「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。私は後方支援担当だからね。後方支援にまわされる異能があるの。みてなさいな」

 そういって笑うと、虎城は呪文を唱えた。

「ディア」

 回復していく虎城をみてディーがこういった。

「異能力者で回復系は珍しいな」

 ディーは虎城と京太郎の様子を確認しながら、周囲の状況も確認していた。スポーツカーのヘッドライトを全開にして、真っ暗闇の中を照らしていた。しかし土煙があまりにも舞い上がっているためにヘッドライトの光がぬるくなり先を照らせていなかった。動き回るにしても土煙が収まらないと、どうにもなりそうにない。

 ディーの指摘を受けた虎城は笑いながらこういった。

「よく言われます。バリバリの修羅場を体験するなんて初めてですよ。私の班は完全な後方支援専門で前線には上がりませんでしたから」

 京太郎にもう大丈夫だと虎城はアピールしていた。京太郎が心配されているのがくすぐったかった。というのが自分よりも年下だろう京太郎に心配されるというのが年上のプライドを刺激したのだ。サマナーの世界で年功序列などという考えは、ないようなものである。強くなければ生きられない世界、実力主義の世界だ。しかしそれでも年上の意地みたいなものはあった。

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1: ◆hSU3iHKACOC4 2015/03/31(火) 03:41:01.75 ID:w4MVYybr0
はじめに。
ライドウと咲の二次創作です。ライドウの未来に咲がある設定でやっています。
いくつか注意してほしいところがあります。
一つ。 文章がものすごく長い。
二つ。 設定が激変しているキャラクターが多いので気に入らないと思うことがあるかも知れません。
三つ。 前回「操り人形よ糸を切れ」の内容を引き継いでいます。

内容について。
まったく恋愛要素がありません。
今回はほのぼの八割で進行します。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1427740861

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1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/11/08(金) 20:26:46.93 ID:fKd1mojdo
デビルサマナー葛葉ライドウシリーズと魔法少女まどか☆マギカのクロスSSです
稚拙な文ですが最後までお付き合いいただければ幸いです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1383910006

引用元: デビルサマナー葛葉ライドウ対インキュベーター 


 

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1: 山梨最高</b> ◇31XYrFalkuo5<b> 2014/09/27(土) 20:57:16.94 ID:4btJ32Bz0
人の世は縁と申します。 結んだ糸が絡み付き、もろく哀れな彼岸花。 怒り、悲しみ、涙に暮れて、午前零時の帳の向こう、晴らせぬ恨み、晴らします。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1411819026



引用元: 葛葉ライドウ対地獄少女 



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1: 山梨最高 ◆31XYrFalkuo5 2015/09/19(土) 01:46:21.92 ID:qwtC+urU0
 繰り返す、私は何度でも繰り返す。同じ時間を何度も巡り、たった一つの出口を探る。
 あなたを、絶望の運命から救い出す道を。
 まどか……たった一人の、私の友達……

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1442594781

引用元: 葛葉ライドウ対超弩級魔女 

 

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