2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2011/06/29(水) 01:25:06.95 ID:2fSdrpMjo
「………ん……?」
瞼の裏に光の眩しさを感じ、ベッドに寝かされていた少年はゆっくりと覚醒する。
「ここは……?」
彼はベッドから身を起こすと周囲を見回し、首を捻る。
見覚えの無い場所だ。チープな照明器具と、今己の使っているベッド以外には何も無い。
窓すら存在しないその部屋は、危険人物を閉じ込める地下独房を連想させた。
とは言え身柄を拘束されているというわけではないらしい。手足は自由に動くし、五感も正常に働いているようだ。
何故自分がこんな所にいるのか、ここは一体どこなのか、少年には心当たりすらありはしない。
そして何よりも、彼には真っ先に疑問に思わなければならない事があった。
「俺は、死んだはずじゃなかったのか?」
己の手の平を見下ろしながら、少年―垣根帝督は震える声で呟く。
最後に自分が見た光景が、受けた仕打ちが、鮮明に脳裏に浮かび上がる。
あの時、彼は『暴力』と言う言葉をそのまま具現化したかのような圧倒的な力の前に
為す術も無く打ち据えられ、切り刻まれ、引き千切られ、『虐殺』された。
思い出すだけで冷や汗が滲み、全身の毛が逆立つ。
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