『アイドル』、――曰く偶像。
いつだって液晶の向こう側にいて、けれど決して手の届くものではないのだろうと思えたそれは、ボクにとってまさしく『非日常』であった。だからボクはそれに飛びついた。
その日、ボクは渡された名刺と連絡先をもって帰宅し、両親を説得、両親にはボクに声をかけてきた男性、プロデューサーからも説得をしてもらって、晴れて親の応援も得られたボクは地元を離れて事務所のあるという都心へと引っ越すことと相成った。
あれよあれよという間に、ボクの周囲は色を変えた。
新しい環境、毎日が大変で、レッスンや営業をトレーナーさんやプロデューサーとたくさんこなした。すごく忙しかったし、辛くなかったと言えば嘘になるけれど、それでもボクは事務所の先輩や、姉の様に優しい事務員さんのおかげでその全てを乗り越えることができた。
そしてボクは、無事立派な『新人アイドル』になることができたんだ。
引用元: ・飛鳥「そのキャラクターって、つくっているよね?」 菜々「ギクッ!?」
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