額から零れ落ちる汗は、漆黒のアスファルトと交わり、消える。
例え完全に存在が消えなくとも、誰の目にも見えなくなれば、それは消えたのと同じだ。
それを身をもって知っているからこそ、俺は今をこうして――。
まゆり「ねーねーオカリン。今気付いたんだけどね、オカリンの白衣、袖のところ破れちゃってるよ?」
む、せっかく俺が感傷的な気分に浸っているというのに。だがしかし、確かに見てみると、少し袖が破れているようだ。
そう思った瞬間、突然一つの情景が、頭の中に浮かんだ。
コインランドリー……紅莉栖……ソーイングセット……白衣……。
一体、これはなんだ?
α世界線で、紅莉栖にラジ館で白衣を縫ってもらった覚えはあるが、コインランドリーで縫ってもらった記憶などないのだが。
まゆり「どうしたの? オカリン、大丈夫?」
心配そうに、まゆりが俺の顔を覗き込む。
人質の分際でこの俺を心配しおって。
岡部「フッ、何の問題もない。さぁまゆり、ラボへの道を急ぐぞ」
まゆり「了解なのです」
今日も俺はこうして生きている。
隣で、まゆりが笑っている。
そしてラボに帰れば――そこには、紅莉栖がいるのだ。
まだ、誰も死んでいない。シュタインズゲート世界線で――。
引用元: ・【シュタゲSS】ラボに帰ると紅莉栖が真っ赤だった
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