2: ◆Ye3lmuJlrA 2013/12/12(木) 21:12:27.90 ID:Ku6xxED60
ちょっと世界救ってきます。
堀裕子――ユッコがそんなことを言ってどこかへ行ってしまったのは、他のアイドルたちがきゃあきゃあ騒ぎながら天体観測をしていたときのことだった。
いつもながら突飛過ぎる宣言に何と答えたか、プロデューサーはよく覚えていない。多分、「ああ」とか「はぁ?」とか、もしくは「あんまり遅くならないようにな」とか、そういう類のことを言ったと思う。
「あら、ユッコちゃんどこ行ったんですか?」
「なんか、世界救いに行ったらしいですよ」
不思議そうな顔のちひろにそう答えると、目を瞬いた後で苦笑を浮かべた。
「相変わらず、ですねえ」
「ええ、相変わらずです」
プロデューサーは肩を竦めた。ちひろはそれ以上何も聞かず、皆の方に歩いていく。アイドルたちの輪から少し離れたベンチに座ったまま、プロデューサーは穏やかな気持ちで皆を眺めた。
今いるのは事務所のすぐ近くにある公園の広場で、本格的な天体望遠鏡がいくつか備え付けられている。それらはのあや晶葉が持ってきたもので、アイドルたちが代わる代わる覗きこんではレンズの向こうの星空に思い思いの歓声を上げている。
みんなで一緒に満天の星空が見たい、なんてロマンチックなことを言い出したのが誰だったかはよく覚えていないが、どうやら即席の天体観測会は大成功らしい。
何せ、普段澄まし顔のありすや、大抵眠たげにぼんやりしているこずえですら目を輝かせて望遠鏡のそばを離れないのだから。
「なのに、ユッコの奴ときたら……落ち着いて星も見れないのか、まったく」
ぼやくように呟き、プロデューサーは缶ビールに口をつける。自分で買ってきた物ではなく、押し付けられた物だ。押し付けてきた早苗と友紀は、既に向こうの方で良い感じに酔っ払っている。
今、この公園には事務所に所属しているアイドルたちが集まっていた。およそ三十名ほど、子供から大人まで年齢層も幅広く、夜とは思えないほど華やかだ。
ライブ前の舞台袖と少し似た雰囲気だが、それよりももっとのんびりとした、気楽な空気が流れている。
堀裕子――ユッコがそんなことを言ってどこかへ行ってしまったのは、他のアイドルたちがきゃあきゃあ騒ぎながら天体観測をしていたときのことだった。
いつもながら突飛過ぎる宣言に何と答えたか、プロデューサーはよく覚えていない。多分、「ああ」とか「はぁ?」とか、もしくは「あんまり遅くならないようにな」とか、そういう類のことを言ったと思う。
「あら、ユッコちゃんどこ行ったんですか?」
「なんか、世界救いに行ったらしいですよ」
不思議そうな顔のちひろにそう答えると、目を瞬いた後で苦笑を浮かべた。
「相変わらず、ですねえ」
「ええ、相変わらずです」
プロデューサーは肩を竦めた。ちひろはそれ以上何も聞かず、皆の方に歩いていく。アイドルたちの輪から少し離れたベンチに座ったまま、プロデューサーは穏やかな気持ちで皆を眺めた。
今いるのは事務所のすぐ近くにある公園の広場で、本格的な天体望遠鏡がいくつか備え付けられている。それらはのあや晶葉が持ってきたもので、アイドルたちが代わる代わる覗きこんではレンズの向こうの星空に思い思いの歓声を上げている。
みんなで一緒に満天の星空が見たい、なんてロマンチックなことを言い出したのが誰だったかはよく覚えていないが、どうやら即席の天体観測会は大成功らしい。
何せ、普段澄まし顔のありすや、大抵眠たげにぼんやりしているこずえですら目を輝かせて望遠鏡のそばを離れないのだから。
「なのに、ユッコの奴ときたら……落ち着いて星も見れないのか、まったく」
ぼやくように呟き、プロデューサーは缶ビールに口をつける。自分で買ってきた物ではなく、押し付けられた物だ。押し付けてきた早苗と友紀は、既に向こうの方で良い感じに酔っ払っている。
今、この公園には事務所に所属しているアイドルたちが集まっていた。およそ三十名ほど、子供から大人まで年齢層も幅広く、夜とは思えないほど華やかだ。
ライブ前の舞台袖と少し似た雰囲気だが、それよりももっとのんびりとした、気楽な空気が流れている。
引用元: ・堀裕子「サイキック世界救済」
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