神裂「鋼盾―――鋼の盾ですか、よい真名です」前編
481: ◆FzAyW.Rdbg 2011/07/02(土) 23:36:21.13 ID:koz38vGzo
―――簡単に終わるわ、け……いや、すぐに終わるよね。こんなの」
そう、原因不明の火事、その程度のことで消防車が来ることの方がおかしい、現場検証なんて何を大袈裟な――と、
その思考自体がおかしいことに鋼盾は気付くことができない。
「……って、土御門くん! 鼻血!!」
見れば、土御門の鼻からは、赤い筋が垂れている。
夜の闇の薄暗さでよく解らないが、心なしか顔色も悪いように思えた。
「おっとと、しまったにゃー。
……いやあ、これじゃあコウやんのことをムッツリなんて言えないですたい」
ポケットからハンカチを取り出し鼻に押し当てる土御門。
意外なことにしっかりアイロンのあてられたそれは、噂の妹さんの仕事だろう。
折り悪く鋼盾は会ったことはないが、繚乱家政に通うメイドさん見習いの女の子だった筈だ。
――なぜか上条はエンカウント率が高いらしく、そんなところにも一級フラグ建築士のアレっぷりを感じずにはいられない。
まあ、そんなことはさておいて。
「大丈夫? なんか辛そうだよ?」
「ふう、心配ないんだにゃー。
最近のコウやんはアレだな、なんかカミやんのお人よしが感染ってるような気がするぜよ。
いかんにゃー、アレは常人がマネしちゃダメなレベルですたい」
「……そんなこと、ないよ」
言いつつ、上条や、他の皆に影響されている感は否めないという自覚はある。
部屋に寝かせた男を思い出す。
中学までの鋼盾なら、面倒ごとを恐れて無視していただろう。
ただ、上条当麻のアレとは違う。自分はあんなに、ばかみたいにホンモノではない。
――どうしようもない、紛い物だ。
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