道具屋「兄ちゃんも、下手に旅なんかするよりは、兵士として雇ってもらったほうがいいかもな。はっはっは!」
道具屋「で、薬草と毒消し草だ。ほら」
勇者「ありがとうございます」
道具屋「このご時世に二人旅とは大変だな。しかも、随分と別嬪さんじゃないか」
狩人「……」
勇者「はは……」
狩人「勇者、いこ」
道具屋「ありがとうございー。またのお越しをー」
勇者はともに旅をする狩人に引かれる形で道具屋を後にする。
ここは鄙びた小村である。往来に人通りは多いが、誰しもみな力がない。
それが魔王による長年の影響のせいであろうことは、想像に難くなかった。
ふらふらとした一つの影と、足取りのしっかりとした一つの影。
少し険のある、くたびれた印象の、剣を帯びた男――勇者。
三白眼で褐色肌の、矢筒を担いだ女――狩人。
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