1: SideM×シンデレラガールズSS 2015/10/31(土) 22:19:09.65 ID:y+PfDi/u0
九十九一希

大通りの喧騒から離れ、一人路地裏で額に手を当てる。
雑踏は苦手である。
木々の音や川のせせらぎと違い、人々が織り成す騒がしさは小規模な感情があちこちで弾けていて、落ち着かない。
一希(だらしがないな……涼や大吾にまた心配をかける……)
とりあえず2人にはもう少し一人で散策すると伝えておく。
いっそのこと人々ではなく、亡者の群れが怪しい呪文や冥界へ連れ込む甘言でも吐いていると思いこんだ方がまだ落ち着けるかもしれない。
ハロウィン・フェスタ。
道行く人がみんな仮装をしているこの状況なら、違う世界に想いを馳せて視点をずらすのも容易だろう。
陽気なジャック・オ・ランタン。パフォーマーのピエロ。小さな魔女に、生き生きと駆けまわるあり方が矛盾した亡者たち――多種多様な化物、魔物、亡者、幽霊の集い。
一希(ゴースト、か……顔色が悪い今のおれもまた、ゴーストに見えるだろうか?)
靄のような想いが脳裏に湧いて、頭を振ってそれを振り払う。
今のおれは……作家だった父のゴーストライターなんかじゃない。
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